柿の木日記・
アウトリーチプログラム
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2012年1月11日(水)
【おしえて!Mr.バッハッハ】~『カルミナ・ブラーナ』 おお、運命の女神よ~
全てのものは運命に支配される。
運命の女神の車輪の前に全ては服従せねばならない。
0,Fortuna(おお、運命の女神よ) 0,Fortuna, おお運命の女神よ、 velut luna あなたはまるで月のように statu variabilis, 絶え間なく姿を変える semper crescis 満ちてきたかと思うと aut decrescis; また欠けていく vita detestabilis 人生も同じこと nunc obdurat ある時は冷たくあしらい、 et tunc curat ある時は優しく微笑む ludo mentis aciem, あなたの手にかかれば egestatem, 人間の貧しさや権力なんて potestatem 炎にかざした氷のようなもの dissolvit ut glaciem. 簡単に無に帰るのだ
(よしのちゃん):ねえ、Mr.バッハッハ。この曲どこかで聴いたことあるよ! 旋律が印象的。体の奥の方がゾクゾクしてくる感じだね!
(Mr.バッハッハ):これはね、カール・オルフ作『カルミナ・ブラーナ』という カンタータ(※合唱付きオーケストラ曲)だよ。 ヨーロッパのサッカーの試合で選手入場の時に使われたり、 CMやドラマなどでも耳にすることがあるね。
へえ、『カルミナ・ブラーナ』について、くわしく教えて!
『カルミナ・ブラーナ』とは“ボイレンの歌集”という意味だよ。 19世紀初めに南ドイツのバイエルン地方、ベネディクト派ボイレン修道院で 古い写本が見つかったんだ。 (※ベネディクト派=キリスト教の一派で戒律が厳しい宗派) そこには12世紀から14世紀にかけての無名の吟遊詩人や若い修道層たちが綴った歌と詩が 250以上収められていた。
それはとてもマジメな内容なの?
いやいや、なんとそのテーマは・・・酒、賭博、権力の風刺、女、恋、エロスなど、 若者らしい素直で感情がむきだしのものが多いんだよ。
へえ~、規則の厳しい宗教の反動かな?
「春」では、新しい命の誕生をおおらかに歌いあげ、 「酒」は、若さと感情にまかせた怒りを表し、また世俗の権威についてあざけり笑う。 「愛」では、女の肉体に憧れ溺れつつも、恋人と夢を語り合って生きる喜びを満喫するんだ。
しかし最後には、はじめと同じ「運命の女神」の曲が再現され、ちっぽけな人間の存在を嘆きつつ、 運命という巨大な波によって飲み込まれていく様を、圧倒的な迫力で描き幕を閉じる。
“運命の女神”が全てのカギを握っているのね!
(『カルミナ・ブラーナ』詩歌集 wikipediaより引用)
左には、奈落から這い上がろうと真剣な人間。 上には、頂点で栄華を極める人間。 右には、頂点から真っ逆さまに転落していく人間。 下には、車輪の下敷きで押しつぶされている人間。
車輪が回ると・・・当然4人の立ち位置も変わるね。 一方が昇れば、一方が沈む。 頂点で輝いている者も、時が経てばやがて車輪の下敷きになるって考えると・・・
なかなか恐ろしい絵だね・・・。
そして、フォルトゥナには、後ろ髪がなく、前髪しかないんだ。 なぜだかわかるかな?
う~ん、なんでなんで?
チャンスは後からではつかめない、ということだよ!
へ~え、なるほどね!
ドイツ・ミュンヘン出身の作曲家、カール・オルフ(1895~1982。86歳で没)は、 1934年にこの詩歌集を偶然見つけ、衝撃を受けた。 折りしも、1934年のドイツでは、ヒトラーが国の最高指導者となった年だ。 歴史のうねりの真っ只中にいたオルフは、抗いきれない運命に流される民衆や、 権力を我が物とする政治指導者を運命の車輪に置きかえ、この壮大な曲を 作曲したのかもしれないね。
(右:カール・オルフ wikipediaより引用)
ねえ、Mr.バッハッハ。この曲は私も歌うことができるのかな?
ちょうど、平成24年10月7日(日)めぐろパーシモンホールの 開館10周年記念コンサートで、この『カルミナ・ブラーナ』をやるんだよ。 そこで、オーケストラと共演する合唱団を、現在募集中なんだ。
でも、ラテン語覚えたり、いろいろ難しそう・・・!
4月からの全28回の練習で、丁寧に指導してくれるから大丈夫さ!
詳しい応募方法や練習日程は、以下のページをご覧下さい。 カルミナ・ブラーナ合唱団員募集要項&練習日程.pdf
事業課 余村