柿の木日記・
アウトリーチプログラム
職員がホールでの日々のできごとや、
アウトリーチプログラムなどについての
情報を発信しています。
2012年3月31日(土)
【楽器のひみつVIII】第3回 ニューヨーク生まれのスタインウェイ
2012年3月10日(土) 15:00開演
小ホール
出演: 江口玲
ショパン: ノクターン嬰ヘ長調Op.15-2 (ハンブルク)
シューマン: 子どもの情景Op.15より 「トロイメライ」(ハンブルク、ニューヨーク)
パデレフスキ: 作品集Op.16より メロディ (ニューヨーク)
ウィリアム・バード: 私のネヴェル夫人の曲集より パヴァーヌとガリアルド 第5番 (ハンブルク)
ヘンデル: 歌劇「リナルド」より アリア「涙流るるままに」
モーツァルト: ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K330 第一楽章
ショパン: ポロネーズ イ長調 Op.40-1「軍隊」(ハンブルク)
ショパン: ポロネーズ 変イ長調 Op.53「英雄」(以降ニューヨーク)
リスト: 巡礼の年 第2年 イタリア より ペトラルカのソネット 第47番 “その日までいつくしみくださる” ペトラルカのソネット 第104番 "平和は見いだせず" ペトラルカのソネット 第123番 "私は地上に天使のような姿を見た"
リスト/ホロヴィッツ編: ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調
【アンコール】
リスト: コンサレーション
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めぐろパーシモンホールにある「ハンブルク製のスタインウェイ」ピアノのとなりに、「ニューヨーク製のスタインウェイ」(タカギクラヴィア所有)ピアノが並びました。
ニューヨーク製が1993年製、ハンブルクの方が2001年製で、さほど作られた時期は変わりはありません。ですが、ニューヨーク製の方が少し傷が目立っています。 素材と塗装が異なるため、ニューヨーク製の方が少々傷がつきやすくなってしまうのだそうです。
ニューヨーク・・・カエデの木のみ。 ハンブルク・・・カエデの木とブナの木をはりあわせている。 ※カエデ=ヴァイオリンなどの弦楽器に多くつかわれる素材。
わかりやすい見た目の違い。
ニューヨーク。角が鋭角。
ハンブルク。角が丸い。
その他、スタインウェイ社の来歴などについては、柿の木日記の秘かな人気コーナー、 「おしえて!Mr.バッハッハ」で、Mr.バッハッハがぼんやり系質問者に優しく教えてくれています。 http://www.persimmon.or.jp/information/diary/20120306104600.html
左側がニューヨーク製、右側がハンブルク製です。
同じ曲で音色の違いを確かめてみましょう。ということで、
シューマンの「トロイメライ」を ハンブルク→ニューヨークの順に演奏。
続けて聴いてみると、音色の違いが明らかに分かります。
さらに、ニューヨーク製のハンマーを交換します。
鍵盤も含めたユニットをごそっと取り出し、入れ替えています。
なかなかお目にかかれない光景ですね。
ハンマーを変えることは、演奏者にとってはほぼ別の楽器になったともいえるぐらい
違うものなのだそうで、ピアノの音色に合わせた演奏をするのも(1度の公演で3台相当!) 大変なのだそうです。 同じく「トロイメライ」を聴いてみると、担当者の主観ではありますが、 確かに発音がよりクリアになったような少々金属的な印象が強くなったように感じました。
後半冒頭は、ショパンのポロネーズで力強い表現をそれぞれのピアノで。
最後の曲、リスト/ホロヴィッツのハンガリアンラプソディーで、ニューヨーク・スタインウェイの力強く華々しい音がホールに響きました。
担当: 小比類巻由乃