柿の木日記・
アウトリーチプログラム
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2013年7月5日(金)
“伝統文化「雅楽」に親しむ” 2回目報告 雅(みやび)な舞と装束に親しむ
日本の伝統芸能を紹介するシリーズ。
今年は伝統音楽である「雅楽」について全2回でお伝えします。
第1回目では楽器のみでの演奏「管絃」についての解説になりましたが、 第2回目は「舞楽」踊りと衣装がメインテーマになります。 (今回の紹介では「舞」と「装束」に絞ってお伝えしていきます。)
リハーサル風景より衣装合わせの一幕です。 何重もの衣装を複雑に重ねて着るため、一人で着ることが出来ません。 演者の方は汗だくになりながらも、衣装を上に上にと重ねていきます。
![雅楽2回目1.jpg](http://www.persimmon.or.jp/2013/07/05/%E9%9B%85%E6%A5%BD2%E5%9B%9E%E7%9B%AE%EF%BC%91.jpg)
前回でもご説明しましたが、 雅楽にはジャンルとして「日本古来」のもの、 外来のもの(「唐楽(中国由来)」と「高麗楽(朝鮮由来)」)があります。
楽器演奏と同じく、舞楽にもジャンルによる違いがあり、 音楽・衣装・舞それぞれに特徴が出てきます。 以下、大まかに「日本古来」「唐楽」「高麗楽」について特徴を並べていきます。
日本古来の音楽を整理した舞楽を「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」と言います。 日本神話に基づく歌や舞で構成されており、神道・皇室の行事などで演奏されます。 衣装の配色が決まっており、主に白を基調としています。
「唐楽」は舞楽において「左方(さほう)・左舞(さまい)」と呼ばれます。
![雅楽2回目2.jpg](http://www.persimmon.or.jp/2013/07/05/%E9%9B%85%E6%A5%BD2%E5%9B%9E%E7%9B%AE%EF%BC%92.jpg)
「高麗楽」は「右方(うほう)・右舞(うまい)」と呼ばれます。
こちらも衣装の配色が決まっており、「着物は緑色」「小物は銀色」となっております。
呼び方や配色からご想像いただけると思いますが、 「左方」と「右方」は対の存在として考えられています。 演奏を「左方」「右方」同じ人数・編成で交互に行うことを「番舞(つがいまい)」といい、 この際の演目組み合わせは決まっています。
ジャンルとは別に演奏の形式として、 「平舞(ひらまい)」・・・・・・穏やかな舞。 「走舞(はしりまい)」・・・・・勇猛な舞。仮面をつけて舞う。基本は一人で舞う。 「武舞(ぶまい、ぶのまい)」・・勇猛な舞。武器を持って舞う。基本は四人で舞う。 「童舞(どうぶ、わらわまい)」・子ども(元服前)が舞う。 「女舞(おんなまい)」・・・・・妙齢の女性の舞。 があります。
衣装にも様々な種類があります。
上記の左方・右方の説明写真の装束は 「襲(かさね)・常(つね)装束」(幾つかの衣装を重ねた装束)といいます。 古代中国の文官の正装が元となっており、舞楽で最も多く使われる装束です。
以下、他の装束の写真と大まかな説明です。
「蛮絵(ばんえ)装束」
![雅楽2回目4.jpg](http://www.persimmon.or.jp/2013/07/05/%E9%9B%85%E6%A5%BD2%E5%9B%9E%E7%9B%AE%EF%BC%94.jpg)
「裲襠(りょうとう)装束」
長い布の中央に頭を通し、前後に垂らした布を帯で留めています。 こちらは武人の礼服が由来であり、大本は「掛け鎧」と呼ばれる古代中国の鎧が元になっています。
「別様(べつよう)装束」
![雅楽2回目6.jpg](http://www.persimmon.or.jp/2013/07/05/%E9%9B%85%E6%A5%BD2%E5%9B%9E%E7%9B%AE%EF%BC%96.jpg)
小物等も含め、特定の曲専用に出来た装束の組み合わせです。
多様な種類に頭が混乱しがちですが、様々な装束を見るだけでも楽しめます。 見て・聞いて・感じて、日本で育まれてきた美を楽しむことができた2時間でした。
雅な世界を紹介する講演会報告も今回で最後になります。 少しでも日本の伝統文化「雅楽」に興味を持っていただければ幸いです。
この「伝統文化シリーズ」は主催である、 『より豊かな生きがいを求める人々に対し、「いつでも どこでも だれでも」学ぶ機会を提供する』 公益財団法人 北野生涯教育振興会 と当ホールの共同提供になります。 http://www.kitanozaidan.or.jp/index.html
今後の講演会については未定になりますが、 募集の際にはめぐろ区報や当ホール発行の情報誌「アートレター」等に掲載いたします。
今後ともどうぞ、めぐろパーシモンホール・中目黒GTプラザホールをよろしくお願いいたします。
担当:菊池