柿の木日記・
アウトリーチプログラム
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2016年10月3日(月)
伝統文化「文楽」に親しむ
公益財団法人北野生涯教育振興会主催の「身近な場所で日本の伝統文化に親しむ」シリーズ。
今年は、9月23日(金)に小ホールにて<伝統文化「文楽」に親しむ>を開講いたしました。
「文楽」と聞くと難しいイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、どのような講座になったのでしょうか。
当日の模様をお伝えします。
前半は、解説と体験のコーナーです。
まず初めに登場したのは、太夫の豊竹靖太夫さんです。
太夫は、声の高さや話すテンポを変えることで、登場人物を語り分けます。
実演では、若い女性と、年老いた女性の語り分けを聞かせてくださいました。
1回目に聞いた時は難しく聞こえた語りも、解説を交えて何度も聞いていくうちに、お客さまにも「分かってきた!」という笑顔が見られました。
次は、三味線の鶴澤清じょう(じょうは丈に`)さんの解説です。
鶴澤さん曰く、文楽の舞台を「うどん」に例えると、三味線は「だし」のような、目立ちにくいけれども重要な役割を果たすもの。
三味線で、舞台の情景だけでなく、登場人物の感情も表します。
まず、天気の弾き分けを聞かせてくださいました。良く晴れた日、激しい雨、しんしんと降る雪・・・三味線の音を聞くだけで、情景が目に浮かぶようです。
続いて、三味線で表す感情表現です。喜び、悲しみ、怒りなど、三味線の弾き分けの技に、お客さまからは感嘆の声が上がりました。
解説コーナーの最後は、吉田簑紫郎さんによる人形についてのお話です。
人形は、主遣い・左遣い・足遣いの3人で動かします。
3人で動かすことによって、まるで人形が意思を持っているような、複雑な動きをすることができます。
しおらしく歩く、口元を隠して微笑む、袖元を口に引っ掛けて悔しがるなど、女性の様々な仕草を実演してくださいました。
人形遣いは、お客さまにも舞台に上がって体験していただきました。
3人で息を合わせて、実際に人形を動かしてみます。
堂々と歩いているように、または女性らしくお辞儀をしているように、笑顔で挑戦していただきました。
後半は、ミニ公演「伊達娘恋緋鹿子~火の見櫓の段」をご覧いただきました。
八百屋の娘お七は、恋人が探している名刀を手に入れましたが、夜は木戸が閉じられ届けることができません。降りしきる雪の中、お七は木戸を開けさせるために、火事を知らせる火の見櫓に登る・・・というあらすじです。
前半のユーモアあふれる解説とは雰囲気がガラリと変わり、出演者の方々の真剣な表情に、場が引き締まります。
お七が、火の見櫓の梯子を登り、鐘を鳴らします。解説を聞いた後の公演とあり、文楽が、太夫・三味線・人形それぞれが融合した総合芸術であることをより感じていただけたのではないでしょうか。
終演後は、人形がホワイエで皆さまをお見送りしました。
間近で人形をご覧いただきながら、人形遣いの方々と言葉を交わしていただきました。
今回の講座が、文楽に親しむきっかけになりましたら幸いです。
お越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
事業課 鶴岡