柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2018年11月8日(木)

未来の音vol.28「本堂誠〈サクソフォン〉」 本堂誠さんインタビュー(2)

 若手演奏家シリーズ「未来の音」の第28回にご出演いただく、サクソフォン奏者の本堂誠さんインタビューその2。
本堂さんが活動の根底に据えているテーマ、今回のコンサートについて、お話いただきました。

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■日本での本格的な演奏活動を開始

Q:ソロ活動では2017年、日本管打楽器コンクール優勝、内閣総理大臣賞、聴衆賞受賞を受賞されました。

A:管打楽器コンクールは高校の時から受けていて、4回目の挑戦でようやく、です。
自分はソロでは入賞できないかな、と思っていた時期もあったのですが、留学時代に受けたコンクールで優勝できたことをきっかけに1年に1回のペースで国際コンクールにて優勝することができ、それも自信につながりました。
そういう経験が、去年の管打楽器コンクールの結果につながったのかなと思います。

■本堂誠の「バリトニズム」

Q: 2017年に完全帰国し、日本での活動を開始されました。
当ホール「未来の音」シリーズには12月15日、「バリトニズム2」という公演タイトルでご出演いただきます。
6月のリサイタルでも使っていましたが、「バリトニズム」というのは本堂さんの造語ですか?

A:これからバリトンサックスで演奏活動していくにあたり、バリトン+ユートピアをあわせた「バリトピア・プロジェクト」というコンセプトを考えました。それに関連するものとして「バリトニズム」を企画しました。今後やりたいことが色々あるので、「バリト~」というシリーズを繰り出していこうかなと考えています。
今回の「未来の音」公演では、「~ism」を「民族主義=ナショナリズム」にもかけています。
フランスやドイツ等を中心とした西洋音楽の周辺の地域で、その土地の音楽に注目して独自の音楽を作ろうとしたのが民族主義の作曲家たちですが、彼らには「自分たちの音楽とはこういうものだ」という表現があって、今僕が「バリトンで表現したいのはこういう音だ」という主張があり、どちらも「自分の言葉で表現したい」というところに共通点があるのではないかなと思いました。
今回、スペインの曲は入れなかったのですが、スペインに関する曲はたくさんあるので、いつか「スペイン」をテーマにまとめたいなと(笑)

Q:バリトンサックスのソロ・リサイタルは体力的・精神的にも大変なのではないでしょうか?

A:30分を超えるサックスのオリジナル作品というものはめったにありません。それは弦楽器とは違って呼吸を音にする楽器なので、単純に体力的限界があるからなのですが(笑)
その限界を超えたいという挑戦もありますし、音域的にもバリトンの通常音域を大きく超える高音域を、いかに美しく魅力的に聴かせるかという挑戦もあります。
挑戦できる部分がたくさんあるということは、それだけ可能性がある楽器ということだと思います。
あまり注目されていない楽器かもしれませんが、その可能性を伝えられるようなコンサートにしたいと思っています。

Q: 12月のリサイタルの聴きどころをお願いします。

A:あまりなじみのない作曲家や作品名もあるかと思いますが、聴きやすい音楽が多いです。それは、民族主義というものが、それぞれの地域に根付いた文化から生まれたものを音楽にしているからです。ただその表現する言語が違うだけで、同じ人間の感じる感情や伝えたい想いは、その言葉を知らない私たちが聴いても、何か感じるものがあるのではないかと思っています。

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バリトンサックスの豊かな音色と表現で聴く、各国の民族主義の作曲家たちのバラエティに富んだ音楽を、ぜひお楽しみください!
きっと、バリトンサックスという楽器のイメージがガラリと変わるはずです。

【公演情報】
未来の音vol.28 本堂誠〈サクソフォン〉ーBaritonism 2
日時:12月15日(土)15時開演
会場:めぐろパーシモンホール小ホール
出演:本堂誠(サクソフォン)/深見まどか(ピアノ)
チケット料金:全席指定2,500円
曲目
コダーイ | チェロ・ソナチネ
ヴィラ = ロボス | チェロとピアノのための小品 より
ブルッフ | コル・ニドライ Op.47
バルトーク | ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
ヒナステラ | パンぺアーナ 第2番 Op.21
グリーグ | チェロ・ソナタ イ短調 Op.36

詳細はこちら
http://www.persimmon.or.jp/performance/…/20180605103929.html