柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2019年7月20日(土)

近藤良平 スペシャルインタビュー

『子どものためのワークショップ2019 ダンスワークショップ』の講師を務めてくださいます、近藤良平さんにインタビューしました。

ビシッとポーズを決めてビシッとポーズを決めて

Q1. まずは、これからすぐ埼玉芸術劇場で本番ですが、近藤さんの作品を拝見していると、いつも夢の中にいるような感覚に陥ることがあります。それが楽しくて、現実の世界と思えなくなるような、そんな感じになったりもします。近藤さんにとって愉快で楽しいことというのは、どんなことなのでしょうか。また、それを作品にどのように活かしていらっしゃいますか。
A1. ファンタジーが日々の暮らしの中にあればあるほどいいな、と思っています。僕らはみんなほぼほぼ日常の生活で生きていますが、なんかやっぱり…こう、ファンタジックにものを考えたりするのはすごく…なんていうのかな、やっぱり人間の特権なんだと思います。それはもう子どもも大人も含めて、年齢関係なく。そういうところに向かいたいなと日々思っています。

Q2. ファンタジーは、キーワードですね。
A2. ディズニーのファンタジアという昔の映画があるんですが、すごく好きなんです。音楽とアニメーションの動きというのが僕の中で膨らみました。幼いころに観たんですが、子どもの僕にとってそれはすごくダンスっぽく見えて、台詞ではなくて動きで表して、音楽でこう盛り上がるみたいな。それこそファンタジックでした。

Q3. 近藤さんの中にファンタジーがいつも常にあるんですね。
A3. はい、住んでおります(笑)。

Q4. とてもお忙しい近藤さんですが、今一番やりたいこと、挑戦したいことはありますか?
A4. 最近コンドルズのメンバーでケニアに行った人がいるんです。動物のあの優位な世界です。人間の社会にいると、やけに人間中心になるじゃないですか。人間なのか、建物なのか、パスポートなのか分からないですけど、すごくそういう感じがします。それがケニアに行くと、動物同士がいて、その下の部分に人間が暮らしてるらしいんです。すごくないですかなんか!動物に従って、人間が生かせてもらっているというかなんというか。そういうところに行ってみたいですね。
共生じゃないですけど、やっぱあるんだろうなそういう世界が。いや、僕はまだ行ったことがないのではっきりしたことは言えませんが。ですから、ケニアに単純に行ってみたいです。世界観が変わりそうです。
前に一回だけ北極に近い地域に行ったことがあります。すごく寒い所です。そこは、僕には白とか黒とか・・・要するに明かり、光、明るいところと暗いところ、そんな所にも人が暮らしているんだなって、単純に思いました。すごい機能だなって。北のどうしようもなく太陽がずっと出ている、どうしようもなく真っ暗な世界。とにかく自然に対しての影響力というか、人間の順応性というか。極限の世界に生きる人間の不思議さも感じました。

Q5. 自分がやりたいと思うことや、夢を通すことは大変だと思います。それでも努力が必要であったり、心が折れてしまったりすることもあると思います。そんな大変な状況の時、近藤さんいつもどんな風にしてそれを乗り越えていらっしゃるんでしょうか。
A5. 昔から言ってるいのは、「不安だなあ」とか、「ああこれ難しいな」ということを出来るだけ言わないということですね。ネガティヴな言葉を言わない、というよりも、もし辞書があったとしたら、そのページをなくしてしまう感じです。切り取って捨てちゃうんですよ。そうするとほら、無くなるんですそれが。というイメージです。ネガティヴなやつをふわ~っと思い浮かべると、そっちに行っちゃうので。あとは良い意味で忘れてしまうというか。五分前のことも忘れてしまうぐらい。良い意味でですよ!

大物俳優を意識して大物俳優を意識して

Q6. 今回のワークショップは対象者が三年生から六年生までで小学生限定なんですが、過去二年間は中学生も入ってのワークショップでした。小学生と中学生への接し方や、ワークショップの進め方というのはやはり変わってくるものなのでしょうか。
A6. 何となくですが、小学生の方が自分のやってしまうことに、動きとかもそうですが、無責任な感じがしています。その辺りが中学生とは少し違いがあるような気がしています。その自由度みたいな部分はやっぱり比較的大事にしたいと思っている部分でもあります。
中学生にもなるとさらに制度やルールが厳しくなって、なんとなくこう…追い詰められた自分になってしまう気がします。統一的というか。ルールの中に縛られてる感じがありますよね。
そういった意味でも、小学校の方が良い意味で自由。また言ってしまいますが、小学生は自由な部分が多くて、それを本人は自覚してないというところがすごく面白いです。
我々はね、もう大人だから、「お前自由でいいなあ」って言いたくなっちゃうんだけど。

Q7. 過去二年間のワークショップではその時に参加してくれる子どもたちの個性や特徴を全面に出していただいて作品を作っていただきましたが、今回はパーシモンホール、ということで、パーシモンダンス、という一部指定をさせていただいて、そのような中でその子どもたちらしさというか、パーシモンならではのというところを是非お願いしたいと思っていますが、その辺りはいかがですか。
A7. それは僕が作るというよりは、一緒に参加してくれる子どもたちと一緒に作っていくものだし、それはみんなに個性や特徴を出してもらって、「何がパーシモンなんや」っていうところから始まると思います。子どもたちが考えるパーシモンってなんだろう、ということが動きや歌になっていくのはすごく大事なことなので。すごい楽しみですよ!
子どもたちは結構お下劣だったりもするし、かと思えばポエムを越えたポエムを作ったりもします。ホント面白いです。
一人自分をこうさらけ出してくれる子がいると色々出て来ます。それはズルズルっと穴の開いたコーヒー豆の袋みたいな感じですね。やっぱりこういうのが自由なダンスを作ったりもするので、色んなタイプの人たちと、そこから自分の持っている以上のものが何かはじけ出ると自分もびっくり、みたいな時間を作りたいです。

Q8. 正に今近藤さんが仰ったように、このワークショップもそこが狙いと言うか、普段の学校生活とは全然違う空間の中で、いつもとは違う自分を出してほしいなという風に思っているので、それを引き出してもらえたら大成功です。どうぞよろしくお願いします。
A8. 3年目なので頑張ります。

Q9. 参加者へメッセージをお願いします。
A9. 今回は小学3年生から6年生までという形で実施しますが、恐らく忘れられないような夏の時間を過ごせると思います。パーシモン良い所ですよ。なので皆さんぜひぜひ参加して、本番もやりますので、楽しみに見てください。

Q10. 発表会の見所もぜひお願いします。
A10. まだ決まっていないですが、やっぱり「ジブリを越えろ」みたいな感じで頑張ります。「ジブリを越えろ」が合言葉です!今年の夏もよろしくお願いします。

7月23日からいよいよダンスワークショップが始まります。
自由な発想から生み出される作品は、大人の想像を遥かに超えています。
そんな未知なる作品をぜひご覧ください!

【子どものためのワークショップ2019 ダンスワークショップ発表会】
日時:2019年7月25日(木) 11:45開場/12:00開演
料金:【全席自由】入場無料(予約不要・当日直接会場にお越しください)
会場:めぐろパーシモンホール 小ホール
出演:公募による小学3年生から小学6年生までのワークショップ参加者
演出:近藤良平(コンドルズ主宰、振付家、ダンサー)
公演の詳細はこちらまで→https://www.persimmon.or.jp/performance/sponsored/20190622183226.html

近藤良平プロフィール

第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞受賞。第67回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。第67回横浜文化賞受賞。
コンドルズとは男性のみ学ラン姿でダンス、生演奏、人形劇、映像、コントを展開するダンス集団。
2016年、NHKホール公演を即日完売、追加公演を行う。これまでに世界30ヶ国以上で公演。NHK教育『からだであそぼ』内「こんどうさんちのたいそう」、NHK総合『サラリーマンNEO』内「テレビサラリーマン体操」などで振付出演。NHK連続テレビ小説『てっぱん』オープニング振付も担当。その他、野田秀樹出演NODA・MAP
『パイパー』に振付出演。野田秀樹演出、NODA・MAPの四人芝居『THE BEE』、前田哲監督映画『ブタがいた教室』などに役者として出演。女子美術大学、立教大学などで非常勤講師としてダンスの指導もしている。
現在、NHKエデュケーショナルと共に0歳児からの子ども向け観客参加型公演「コンドルズの遊育計画」や埼玉県と組んで行う「近藤良平と障害者によるダンス公演」ハンドルズ公演など、多様なアプローチでコンテンポラリーダンスの社会貢献に取り組んでいる。ペルー、チリ、アルゼンチン育ち。愛犬家。

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