柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2020年12月28日(月)

指揮者・原田慶太楼氏にZoomで迫る!インタビュー①

2021年1月30日に開催するフレッシュ名曲コンサート「読響×原田慶太楼×小井土文哉」で当ホールに初登場する指揮者・原田慶太楼。アメリカを拠点に日本でも大きく躍進するマエストロに、これまでの歩み、ステイホーム期間中の活動、そして今回のプログラムについて…Zoomでたっぷりとお話をお聞きしました。

音楽の道を志すまで

音楽を志すことになったきっかけを教えてください。

子どもの頃はあまり音楽とは接点がなかったのですが、音楽に興味を抱くきっかけになったのは、通っていたインターナショナルスクールで上級生たちのミュージカルを観たことです。
「ウェストサイド・ストーリー」のバーンスタインの音楽に触れて、「ミュージカルってかっこいいなあ!自分もミュージカルのプロダクションに参加したい」と思いました。
最初はブロードウェーのスターに憧れたんだけど、歌もうまくないし踊りも下手だから諦めて。
その後、中学生の頃にサックス奏者 須川展也さんのCDでクラシックのサックスをはじめて聞いて、バーンスタインのウェストサイド・ストーリーで使われていた楽器と同じだと気づき、それからサックスを始めました。

そもそも須川さんのCDを手に取ったのは?

その頃自分は青色が好きだったのですが、渋谷のタワレコに行ったときに青いCDジャケットが目に入って、手に取って購入しました。
当時はSMAPとかDA PUMPとかをよく聞いていたから、偶然に近いですね。

ロックとかジャズなどを聴いていたのかと思っていました。

よく日本のポップスを聴いていました。ジャズを聴き始めたのは楽器を始めてからです。
今でもそうですよ。自分のSpotifyのプレイリストに入っているのはほとんどロックかポップスかヒップホップです。
クラシックを聴くと音符とか楽譜が見えるので、脳を使わずリラックスして音楽を聴くときはクラシック以外になりますね。カラオケも好きですよ。

高校からアメリカに留学されたのですよね。

ステージの上で歌って踊る夢は早めにあきらめましたが、ミュージカルの仕事がどうしてもやりたかったので、ミュージカルのピットミュージシャンを目指しました。
初めてニューヨークに行ったときにブロードウェーのピットの中を見たら、本当に少人数でやっているんですね。8人ぐらいでフルのオーケストラのサウンドを作っていて、これはすごいなあと思いました。
ダブラーといって、一人で2つ以上の楽器を担当するんです。一人の演奏者の周りに5つぐらい楽器があり、プラス、シンセサイザーがあって…。
それがブロードウェーでは当たり前で、ダブラーになるにはアメリカに行った方が早いなと思ったので、大学から行こうと思っていました。
それが高校の時に、先輩がミシガン州のインターロッケンという、エリートミュージシャンを多く育てていることで有名なアメリカで最も古い芸術学校の夏のセミナーに行ったという話を聞いて、その学校に家族にも誰にも言わずにカセットテープの録音を送ったところ、オーディションに受かったので、高校2年生から通い始めました。

ご家族にはどの時点で伝えたのですか?

受かった後!受かって奨学金がもらえることも決まって、はじめて「こういう学校に受かったので行きます」と伝えました。反応は「どうぞ、どうぞ」です。オープンなファミリーですよね(笑)。

指揮との出会い

それでインターロッケンの芸術学校に通い始めたのですが、しばらくは指揮との接点はありませんでした。
僕の吹奏楽の先生が、東京佼成の名誉指揮者でもあったフレデリック・フェネル先生だったのですが、彼のもとで2年間演奏するうちに「指揮者ってすごいなあ」と思い、マエストロのレッスンを受け始め、指揮者への夢も持ち始めました。
ネットでいろいろな映像が見られるようになって、指揮者のことをリサーチしている中で強い衝撃を受けたのが、ヴァレリー・ゲルギエフ、ユーリ・テミルカーノフ、セミヨン・ビシュコフでした。
この3人がサンクトペテルブルクの音楽院でイリヤ・ムーシン先生に師事したことが分かったので、じゃあサンクトペテルブルクに行けばこういう指揮者になれるんだなと解釈して、高校を卒業した次の年から、サンクトペテルブルクで開催している指揮法のマスタークラスやセミナーを受けはじめました。
日本に帰るためのお金をロシアに行くお金にして、アメリカとロシアを行ったり来たりしていて、多かった時期は年に6回ぐらいは行っていましたね。
サンクトの先生からモスクワの先生を紹介してもらい、そのつながりもあって、モスクワ交響楽団で20歳ぐらいの時にデビューすることになりました。
日本でのデビューは2014年です。出身も日本ですし、日本で仕事したいという気持ちは0ではありませんでしたが、日本で音楽を勉強したことがないので誰ともコネクションがなかったので、そこまで日本での活動は意識していませんでした。
偶然ツイッターで同じ人をフォローしていた方から声をかけていただいたのがきっかけで、日本での活動が始まりました。

聴き手との交流

このお話のように、原田さんはSNSでも活発に発信や交流をされている印象があります。

そうですね、SNSはアメリカでFacebookが初めて出たころからやっていましたし、他のSNSもよく使っています。
アーティストにファンが直接声をかけたりできることがSNSの特徴だと思うので、僕も声をかけられたら返事をします。
演奏について色々な感想や意見も目にします。もちろん音だけで勝負、という考えもあると思いますが、自分が意図した音楽が全く伝わっていないなと感じた時は、その人の解釈が良い・悪いではなく、自分はこういう意図でこういう音楽を作ったんですよ。というところまでは説明します。
言葉で説明できるという点では、コンサート前のレクチャーも、自分がやりたいことを伝えられる場なのでとても大事だと思います。

コンサート前のレクチャーも音楽の理解を深めるための一つの有効な方法というお考えなのですね。

凝っているプログラムなどは、コンサートの前に説明することで、お客さんがより深く聞けるのではないかなと思います。
アメリカのオーケストラの定期コンサートでは開演前のレクチャーをすることが多いのですが、シンシナティでは週3回、コンサートの前に30分のトークをやっていました。
そうすると聴き手も、演奏家たちがどういう意気込みでこの演奏会に臨んでいるのかが分かるし、それだけでも面白いと思ってくれる人もいると思います。
自分が好きなのは、演奏会の前にソリストと話をする形。お客さんにはアーティストと会いたいとか話を聞きたいとか、そういう気持ちもあると思うのです。
今は感染症対策でサイン会もできないので、演奏会前に話を聞く機会があるのはいいんじゃないかなと思います。

新型コロナのパンデミックによる自粛期間中の活動

自粛期間中、YouTubeで毎日のようにライブ配信をなさっていましたね。

新型コロナのパンデミックが始まって、ステイホームでこれだけ時間を得ることができたので、これまでやったことがなかったことをやったほうがおもしろいだろうと思いました。
テレビやインターネットでは、3月ぐらいからはほとんどが暗いニュースだったので、その中で少しでも皆さんに笑顔になってもらうことができないかな、と思って始めたのがYouTubeの番組「Music Today」でした。
多い日は、朝と晩に英語と日本語でやっていましたが、皆さんに笑顔になってもらい、楽しい時間を過ごしてもらいたかったのです。
今は忙しくて回数は少なくなりましたが、クラシック音楽が好きな人たちが好きなアーティストと時間を過ごせるし、今までクラシック音楽に興味がなくても、YouTubeで見つけてちょっとは興味をもって見てくれる人がいるのではないかなと思います。
僕がフォーカスしたかったのは、アーティストの人となりです。
この人がどういう人なのか、どんな趣味を持っているのか。そういったことを紹介できると、いざコンサートが戻ってきたときに彼らへの見方が変わるんじゃないかなとも思いました。
例えばヴァイオリン奏者の水谷晃君がこんなにお城が好きだとか、今度共演する小井土文哉君がウサギや犬と暮らしているとか。
そういうことを知れることで、ファンのみなさんは楽しい気持ちになれるのではないでしょうか。

公演情報

〈フレッシュ名曲コンサート〉読響×原田慶太楼×小井土文哉
2021年1月30日(土)14:15開場/15:00開演
※公演当日14:30から、大ホールステージで読響メンバーによるミニ・コンサートを開催。
〈指揮〉原田慶太楼
〈ピアノ〉小井土文哉
〈管弦楽〉読売日本交響楽団

【曲目】
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64

★LIVE配信決定!
ライブ配信:2021年1月30日(土)15:00開演(14:45~配信開始)
アーカイブ配信期間:2021年2月2日(火)~2月14日(日)23:59
チケット料金:1,000円 (1/13~GoToイベント対象:800円)
販売サイト:TIGET (オンラインのみ)<配信チケット発売中>

公演詳細 https://www.persimmon.or.jp/performance/sponsored/20200801104704.html

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