柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2022年1月7日(金)

講談ってどんなもの?

1月13日開催の「新春落語二人会」では、特別ゲストとして講談の人間国宝である神田松鯉先生にご出演いただきます。講談が初めて、という方もいらっしゃると思いますので、同じく高座に上がる落語と対比しながら簡単にご紹介します。

この文章を読み始めて「あれ?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。神田松鯉「先生」という箇所です。「師匠では?」と思われる方も多いかもしれませんが、講談では「先生」と呼ぶそうです。とはいえ「師匠」でも別にいいですよ、と松鯉先生はご自身の著書でおっしゃっています。

落語と講談の見た目の違いは、釈台(しゃくだい)と呼ばれる文机(ふづくえ)を使うことです。かつての講談師は釈台に軍記物の本を置いて、それを読んでいたと言われています。そのため落語は「咄(はな)す」と言いますが、講談は「読む」と言い、今でも軍記物を詠むときには本を置いてよいそうです。
ちなみに1/13の公演ではめぐろパーシモンホール所蔵の釈台を使用する予定です。なかなかがっしりとした造りの机ですが、めったに使われることがないそうなので、お客様には久々のお披露目です。

次は持ち物。みなさまご存じの通り落語は扇子と手ぬぐいを持ちますが、講談では張扇(はりおうぎ)と扇子を持ちます。そして張扇で釈台を叩きながら話を読んでいきます。この張扇はそれぞれの講談師さんの手作りで、張り具合によって音の響き方が変わってきます。もちろん叩き方によっても響きが異なりますので、講談を聞く時には音の違いにも耳をすませてください。
みなさんには張扇の音がどんな風に聞こえるでしょうか? 「パン」「ポン」と言った優しい音。「パシン」と空を切るような音。張扇の音は効果音でもあり、場面が切り替わる時の合図でもあり、はたまた講談師と共に話を読む読み手でもあるような気がします。
使った張扇は毎年12月28日に東日本橋の薬研堀不動尊で「張扇供養」をして焼いてしまうそうです。

そして着物。落語ではまくらから本題に入るタイミングで羽織を脱ぐのをよく目にすると思いますが、講談の場合は明確には決まっていないそうです。脱ぐ方もいれば脱がない方もいる。代わりに、といっては何ですが眼鏡を外す方もいるそうです。松鯉先生はどうでしょうか?

話の内容はもちろんですが、所作や持ち物などさまざまなところに注目してお聞きください。

参考文献:神田松鯉(著)「人生を豊かにしたい人のための講談」(マイナビ出版)
神田松之丞(著)「講談入門」(河出書房新社)

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