柿の木日記・
アウトリーチプログラム

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2024年6月30日(日)

ぱんだウインドオーケストラ ~ブラスで輝け、未来に羽ばたけ!

広報ボランティアレポート
めぐろパーシモンホールでは、ホールの活動をより多くの方々に知ってもらうため、広報活動にご協力いただく「広報ボランティア」制度を導入しています。
今回は「ぱんだウインドオーケストラ~ブラスで輝け、未来に羽ばたけ!」の様子を、広報ボランティアの方にレポートしていただきました。

公演写真 ©Miyachi Takako

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ぱんだウインドオーケストラ
ブラスで輝け、未来に羽ばたけ!

日時:2024年6月30日(日)
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
出演:水戸博之(指揮)
ソリスト:児玉隼人(トランペット)
ぱんだウインドオーケストラ、上野耕平(コンサートマスター/サクソフォン)
特別共演:目黒区立中学校吹奏楽部

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6月30日に行われた「ぱんだウインドオーケストラ ブラスで輝け、未来に羽ばたけ!」についてお届けします!
曇り空で雨がパラパラ舞う中ですが、開場前には長蛇の列ができています。
目黒の中学校とのコラボ企画もあるので、学生たちがたくさん並んでいます。

めぐろパーシモンホールでのぱんだウインドオーケストラのコンサートは2年ぶり、2回目。
ぱんだウインドオーケストラと指揮者の水戸博之さんとのコラボは2年ぶりだそうです。
コラボ企画に参加する中学生たちは最前列1~3列目に座っていますが、少し緊張気味です。

いよいよコンサート開始。

花道に並んだ金管奏者のバンダ演奏から始まった《Welcome to PANDA!》
演奏中に他のメンバーが舞台に入場します。

私は初めてぱんだウインドオーケストラのコンサートに来ましたが、「ぱんだ」ということで、黒や白の服、白黒の水玉や花柄の服装をするのが定番のようです。きれいなハープの音色、鉄琴の音が印象的。

そして、2曲目。ホルストの《ハマースミス 吹奏楽のため前奏曲とスケルツォop.52》。

ホルストは有名な《ジュピター(惑星)》の作曲者ですが、吹奏楽を3曲作曲。教育的な意味を込めた曲も多いですが、この曲はかなり難曲。先の時代につながるイメージだそう。
イギリスのハマースミスという街は、繁華街と住宅街の狭間で、そこを行き来するような曲になっているとのこと。

静かな感じでスタート。住宅街のイメージでしょうか。その後急にテンポが上がり、激しくなる。そしてまた、しっとり。トランペット、フルートが入り、鉄琴、木琴、いろいろ掛け合いが行われます。そして再び力強くなって締めくくり。

私はだいぶ前に何回かハマースミスに行ったことがあります。ヒースローからロンドン中心部に向かうときに通る街で、音楽を聴きながら、繁華街と住宅街が入り混じる感じだったなーと少し記憶がよみがえりました。

コンサートマスターの上野耕平さんが合間にコメント。「吹奏楽はいろいろな音が聞こえる」、それを楽しむのが大事とのこと。

3曲目の《ダニー・ボーイ》は、アイルランド民謡ですが、芳賀傑先生がこのために編曲され、世界初演となるとのこと。最前列の中学生たちに「絶対に吹きたくなるよ!」と話しかけていました。

素敵なサックスの音色からスタートして、そしてコントラバスの低音。その後にいろいろ楽器が入り混じっていきます。壮大な感じでもあり、シンバルや鉄琴のきれいな音が流れます。アイルランドの風景が思い浮かぶよう。

終了後は、客席の中央にいらっしゃった芳賀先生に盛大な拍手が贈られ、先生は舞台に上がっていらっしゃり、挨拶。
拍手が鳴り止みません。

上野さんが「名作の誕生か?」と一言。

第1部の最後は14歳のトランペット奏者の児玉隼人くん。
グレーのスーツ姿で現れ、14歳と思えないぐらい堂々としています。
多くの観客が見ているのに、ステージの中央で全然物おじしない様子。貫禄があります!

演奏するのは《マンハッタン トランペットと吹奏楽のための》。

第1楽章 Saturday Serenadeは本当にやさしく美しい音色。バンドと掛け合って、響き合っています。
第2楽章Sunday Scherzoは打って変わって激しい指使い、途切れない音、すごいスピードです。

バンドとのすごい掛け合いがあり、とてもかっこいいです。
ただ、技巧が求められる中でも音に優しさを感じられ、トランペットが心から好きだということが伝わってきます。
最高潮に盛り上がり、終わりを迎え、拍手喝采!

「14歳、おそろしい」と上野さん。

拍手が鳴りやまず、アンコール。とても有名な《ラプソディー・イン・ブルー》。

「トランペットと言えばこれ」という曲ですが、会場も大盛り上がり。
バンドの方も児玉くんも楽しさがあふれんばかり。

惜しまれながら第1部が終了となりました。

児玉隼人くん、今後もチェックし続けよう、と強く思ったのでした。

第2部 1曲目のリード作曲の《音楽祭のプレリュード》に参加するのは第一中学校、東山中学校、目黒中央中学校の生徒たち。
ぱんだウインドオーケストラの人たちが座っている中、拍手で迎えられながら入り、混じって座席に。

 

準備中に上野さんが児玉くんにインタビュー。
「楽しかった! 上野さん、リハーサルと全然違うことをやるし。」「気づいた?」と上野さん。
二人の会話は音楽への愛にあふれています。ちなみに、児玉くんは中学校の部活は吹奏楽部に所属していますが、なかなか行けず、部活ではセカンドかサードパートをやっているとのこと。児玉くんも中学生たちに交じって座ります。

演奏開始、まさにお祭りの始まり、にふさわしい楽曲です。

上野さんによるとリードは「うまみを出す作曲家」だそう。中学生たちは物おじせずに堂々と吹ききっていました。

2曲目は宮川彬良作曲の《僕らのインベンション》。
入れ替わりで第七中学校、第八中学校、第九中学校の生徒たちが入場してきます。

指揮者の水戸さんによると、「様々なトリックが隠されている曲」。そして上野さんによると「うまみがわからないと演奏できない曲」とのことです。

タンバリンの音からスタート、その後、トランペット、サックス、フルートの掛け合い。打楽器が小気味よくリズムを刻んでいくのが印象的。テンポがどんどん上がっていく。打楽器がさらに盛り上がり、最高潮で終了。

上野さんは「聴いていると楽しいと思うが、かなり難しい。
指導に行ったときは『大丈夫?』となったが、やり切った」と中学生たちを称賛していました。

次の曲の準備の間、上野さんとユーフォニアムの佐藤采香さんが、各学校へ指導に出かけた時の話をしてくださいました。

「いろいろな学校をまわった中、人数がとても少ない吹奏楽部もありました。吹奏楽はコンクールで勝つことを求められたりしますが、それだけではなく、いろんな楽しみ方があっていいと思う。少人数のアンサンブルを楽しむのもいいと思う」とのこと。ちなみにぱんだウインドオーケストラでは少人数で演奏する「こぱんだウインズ」や、「こぱんだウインドアンサンブル」もあるそうです。

3曲目はリードの《エル・カミーノ・レアル~ラテン幻想曲~》。

始まったとたんにとても熱い!! さすがラテン! すぐに心をつかみます。マラカスの音がラテンの感じをさらに盛り上げる。鉄琴、ティンパニー、シンバル、トライアングル、私は打楽器に魅せられる傾向があるようです。

曲調が変わり、しっとりした感じに。吹奏楽のだいご味、いろいろな楽器が合わさりとてもきれいな音色に。さらにまた曲調が変わり、打楽器、なんという楽器だろう。小気味良い。

上野さん「ラテン、聴くと血液が上がったでしょ?」
中学生たちが席に戻っていきます。「おつかれさま〜」と上野さん。

はやいもので最後の曲、アラルコンの《ドゥエンデ 吹奏楽のための4つの前奏曲》。

2010年に作られた比較的新しい曲で、てんこ盛り、エレキギターも入り、新しい試みをたくさんしたそう。

第1楽章 Allegro giustoはやはり打楽器が印象的。

第2楽章 Animatoは元気の言葉の意味のとおり小気味よい。独特なリズムだが、躍動している、上野さんソロ、のびのあるサックスの音色、本当に楽しそう。

第3楽章 Cadenza a piacere; molto sentino – Lento evocativoはピアノから始まる。その後ハープの独走、ピアノ、フルートに。いろいろな楽器が掛け合っていく。ハープの音色はきれい。全員が本当に楽しんでいるのが、伝わってくる

第4楽章 Tempo de Bulería、拍手、パルマ!! フラメンコ?! 手拍子がホール全体に響き渡ります。4人ほどで手拍子を打っていますが、裏拍子を打っている人も。すごいスピードなのに一糸乱れません。タンバリンも加わってさらに盛り上がり。様々な楽器の演奏も始まり、掛け合い、本当に楽しんでいる。

最高潮に盛り上がって終わり、拍手が鳴りやみません。

アンコールは《PANDASTIC!!》。音楽の楽しさにあふれています。

最後に上野さんが一言。「また会いましょう!」。

吹奏楽を聴くのは本当にど素人ですが、上野さんはじめ演奏者の方の音楽を楽しむ姿に心打たれました。「吹奏楽はいろいろな音が聞こえる」のがだいご味とのことでしたが、本当にいろいろな音を聴いて、楽しんだコンサートでした。

そして最前列で聴いた中学生たちの記憶にも深く刻まれたのではないかと感じました。
今回のパーシモンホールでのコンサートは、2年ぶりとのこと。2年ぶりと言わず、毎年来てくれるといいなーと思ったのでした。

広報ボランティア 細谷

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