柿の木日記・
アウトリーチプログラム

職員がホールでの日々のできごとや、
アウトリーチプログラムなどについての
情報を発信しています。

2021年2月10日(水)

【アウトリーチプログラム】目黒区立第十中学校

目黒区立 第十中学校 2年生124名(4クラス)
日時:2021年1月14日(木) ①10:50~11:40、②11:50~12:40、③13:40~14:30、④14:40~15:30
出演:白石光隆(ピアノ)、礒絵里子(ヴァイオリン)

【プログラム】
エルガー/愛の挨拶
サン=サーンス(ハイフェッツ編)/白鳥
ディニク/ひばり
クライスラー/愛の悲しみ
サン=サーンス/死の舞踏
ショパン/幻想即興曲
ピアソラ/リベルタンゴ
ファジル・サイ/エリーゼジャズ※ベートーヴェン「エリーゼのために」のジャズ風。
**********************************
主催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
後援:目黒区教育委員会

本日訪れたのは、目黒区立第十中学校。
昨年度に引き続き、この中学校の卒業生であるピアニストの白石光隆さんと、今回はヴァイオリニストの礒絵里子さんとの共演です。

まず1曲目はエルガー作曲「愛の挨拶」
この曲はエルガーが恋人へ婚約記念に贈った曲とされており、穏やかなメロディーは日本でも聞き馴染みのある作品となっています。演奏終了後、この曲を聞いたことがあると答えた生徒が半数程いました。

続いて2曲目はサン=サーンス作曲(ハイフェッツ編)「白鳥」
演奏の前に、出演者から「この曲は、元々チェロのソロ曲で有名な曲で、♯が1つの調性です。でも、今回はヴァイオリンとピアノのために編曲され、♭が6つになっている曲を演奏します。実際に聞き比べてみましょう。」
そう言うと、白石さんがチェロとヴァイオリンそれぞれの調性で冒頭部分を弾きます。すると、2つとも明るい印象ですが、調性が変わることで色彩が変わったのが分かります。

3曲目はディニク作曲「ひばり」
この曲はヴァイオリンの”音程を自分で作る”という特徴を活かすことで、ひばりの鳴き声を表現している箇所が沢山出てきます。軽快な曲の中に”ピヨピヨ”、”キュルキュル”とひばりの鳴き声と、”カッコー”と別の鳥の鳴き声も聞こえてきました。

4曲目はクライスラー作曲「愛の悲しみ」
この曲はクライスラーが作曲した「愛の喜び」と対になって演奏されることがあるようです。そんな中、礒さんが今日「愛の悲しみ」を選曲した理由として、曲最後の”良いことがありそうな予感”を感じさせてくれる終わり方が好きだと話してくれました。

曲が終わると、ヴァイオリンの楽器についてお話がありました。本体は木で出来ており、弓は木と馬の毛で出来ています。なんと180本ほどの毛が使用されているようで、定期的に張替えを行うそうです。分かりやすいように弓をバラして見せていただきました。

5曲目はサン=サーンス作曲「死の舞踏」この曲は午前0時に骸骨たちが墓場から現れ、不気味に踊りだす様子や、夜明け前に雄鶏の鳴き声が聞こえると墓に戻り静かになる様子が音楽で表現されています。また、普段は弓の毛の部分で演奏されますが、木の部分で演奏するコル・レーニョ奏法を使って、骸骨たちの骨の音を表現している箇所も出てきます。

演奏が終わると、白石さんが楽器の美しい音が鳴る場所について、ティンパニを例に説明してくれました。
「①真ん中、②直径の1/8の場所、③端の部分。この3箇所を叩いて一番いい音がするのはどこでしょう。」
実際に叩いてみると、②の場所が一番クリアに聞こえました!
そうなんです、楽器は1/8の場所で演奏(叩く・弾く)すると一番良い音が鳴ると言われています。(なんとヴァイオリンの弦も同じ場所で弾いていました!)

ピアノの弦も同様に、美しい音がなる場所にハンマーが当たるように作られているそうですが、高音部分(次高音)だけは異なる構造となっており、音の芯が他の音よりも早く終わってしまう特徴を持っています。

白石さんが今回披露してくださるピアノ曲、ショパンの「幻想即興曲」は、この音が鳴りにくい次高音を多く使っている曲です。
ピアノ製作に携わったショパンだからこそ、この次高音を良い音が出せるよう工夫しながら演奏して欲しいと願っていたのかもしれません。

7曲目はピアソラ作曲「リベルタンゴ」
再びヴァイオリンとピアノの演奏です。Libertangoは、libertad(自由)とtango(タンゴ)を組み合わせた題名で、ピアソラの作品の中で最も有名な曲です。

アンコールにファジル・サイ作曲「エリーゼジャズ」※ベートーヴェン「エリーゼのために」のジャズ風。
軽快な曲で締めくくっていただきました。

本日は1コマ50分の授業時間の中で、8曲×4クラス(合計32曲!)。とても充実したアウトリーチ事業となりました。ご協力いただきました先生方と、演奏者のお二人に感謝申し上げます。

事業課 土屋

 

この情報を家族や友達とシェアしよう!

https://www.persimmon.or.jp/blog/outreach/2021021012562842655.html